医療崩壊の懸念がある中、日本の医療現場の実情を知る

自粛要請により、先週の土日はすっかり外出が減り、閑散としていた街も多かったと思います。仕事で新宿都心に出たというワールドメイト会員によると、普段の土日に比べ人出が9割以上激減していたように感じたようです。

だからと言って、すぐに感染者数が減り始めるとは思えませんが、今月後半には、かなり抑えられるのではないかと期待したいところです。

しかし、このような状態がいつまで続くのかはわかりません。世界で外出を規制している国々でも、まだ終わりが見えない状況です。日本も例外ではありませんが、すでに社会活動の多くが停止しているイタリアなど欧米各国では、経済の損失による危機が、病気による危機よりも大きくなるとの声もあります。

また、2030年までに世界での貧困を終わらせる持続可能な開発目標の達成にとっても、厳しい状況になるとの研究報告もあります。これまで、数十年かけて貧困を縮小することができたのに、過去30年で初めて世界の貧困が拡大するだろうとのことです。世界で新たに4億~6億人が貧困状態に陥り、「経済危機は健康危機よりさらに深刻になる恐れがある」と予測していました。

しかし今回の感染症は、いったん拡大が下火になっても、活動の制限を緩めると再び活発になる怖さがあります。中国政府は、すでに国内で収束したかのようにアピールをしていますが、今後第2波の流行に見舞われないか、非常に警戒している様子が伝わってきます。

そして、欧米でも今のようなロックダウンをいつまでも続けることは不可能でしょうから、感染症の拡大が止まってくるにつれ、徐々に規制を緩めていかざるをえなくなるでしょう。そうなった時に、再び感染症が拡大に転ずることがなければ良いのですが。今後も、何度か流行の山を繰り返すとの見方も多いです。

日本では、今のところ欧米のようなロックダウンは行われていません。西村経済相によると、自粛要請もできるだけ最小限にとどめたいとの意向でした。すぐにでも強い自粛要請を、幅広くかけたい都知事との間には、かなり隔たりもありましたね。

その自粛要請に対して、政府は損失補填という形は取らないという方針です。損失補填になると、精査が難しく、訴訟問題にもつながるからだと言う人もいます。海外でも損失補填をとる国は無いとのことですが、政府の政策は、規模の割には、あまり支持が広がっていません。

むしろ今回都が行う、損失補填ではありませんが、自粛要請に応じた事業者に一律支給される「感染拡大防止協力金」がわかりやすく、休業を要請する店を直接対象にしているためか、好評のようです。他の府県では、東京ほどの財政力が無いため実施は困難とのことですが、国が自治体向けに創設する一兆円の臨時交付金で、そのような使い方ができないか検討していくとのことです。

もともと事業を継続するのは大変なことで、毎年数万社が起業しますが、同時に数万社が廃業しています。国としては、コロナの影響がなければ、苦境に追い込まれる必要がなかった事業者を救おうとしているのでしょう。

国は、感染症の抑制と経済活動のバランスをいかにとるかに苦労していると思いますが、困難な選択が続きますね。今の状況は、感染症拡大の危険が去らない限り、これまでのような経済活動や文化的な活動はできない雰囲気があります。国の出口戦略はまだ見えてきませんが、うまく行くように、ワールドメイトで祈りたいと思います。

ところで、日本の感染症対策のキモは、一貫して感染症による死者を少なくすることだといえます。そのことは、政府感染症対策専門家会議の尾身さんが早くから言っていました。そのためにも、医療崩壊を招いてはいけないわけですね。中国の武漢やイタリア北部を見ると、医療崩壊を起こすことで死者が急増することが、私のような医療の素人にも理解できました。

医療崩壊は、重症の感染症患者に対し、十分な治療ができる医療資源のキャパを超えてしまうことと、院内感染などが発生し、医療従事者への感染が拡大することで起きてしまいます。武漢もイタリアもまさに二つの要因が重なっていました。結果、助かる命も亡くなり、また、感染症以外の他の病気の人たちの治療にも深刻な影響を与えてしまいました。

日本の集中医療室は、人口比でいくとイタリアの半分以下、ドイツの6分の1程度と言われています。重症者に十分な治療を行えることが、死者数を少なくすることに直結しますので、このICUのベッド数が多く、余裕があるドイツでは、イタリアやフランスに比べ死者数が少なくなっています。亡くなる方のほとんどはこのICUで治療を受けて亡くなるそうですが、イタリアでは、ICUで治療を受けることができずに亡くなる人が圧倒的に多いということです。

ICUがあっても、それを管理する医療従事者が足りず、重症者が多すぎて混乱し、機能していないとも言われていました。しかも高齢者が多く、何らかの疾患を持つ人も多いため、さらに拍車がかかったようです。高齢者の割合がイタリアよりも多い日本では、そのわりにICUのベッド数が少ないことも知っておく必要がありますね。以前、医療関係に努めるワールドメイト会員に聞いたところでは、ICUは高度な設備が必要など、いろいろな事情で、すぐに増やせるものではないようでした。

以下の図を見るとわかりますが、地域によっては、感染者受け入れ可能な病床数以上の感染者が出ています。そのため自宅療養になる人が増えています。

国内の重症者は13日現在135名くらいですが、日本は感染が確認された人全てを入院させていました。軽症でも突然重症化する人もいるので安心ではありますが、東京や大阪などは、ホテルなどの施設を貸し切り、軽傷者を病院から移しています。今後は重症者などが優先的に病床を使えるよう、軽症者はホテルなどの施設や、自宅での療養ということに、全国的になっていくようですね。

4月10日の、各地の感染者数と感染症病床数の対比

そうやって感染者対応の病床を、人工呼吸器が必要な重症者や、酸素投与が必要な中等症者、基礎疾患がある高齢の軽症者などに限定して使えば、今のところはまだ大丈夫のように思えますが、そんな簡単な話ではないようです。

まず、増え続ける現在の感染症対応の病床数は、上の図を参考にしてもらうとして、重篤な新型コロナ患者を24時間体制で管理し、効果的な治療を施すためのICU(集中治療室)のベッド数が、日本には6500床ほどあるそうです。しかし、全てを重症のコロナ患者のために使うわけにもいきません。他の病気の患者もたくさんいますし、急患も出ますから、その治療にも必要になると思います。したがって、重篤な新型コロナ患者に使えるICUはかなり限られてきます。ただ、人工呼吸器は1万3千台あり、ICUでなくても使えるとの話も聞きましたが。

今後重症者が増えると、ICUベッド数の不足も懸念されますが、問題は、人工呼吸器や人工の肺機能の役割を持つECMOによる治療ができる、集中治療専門医・集中ケア認定看護師の人数が少ないことです。日本ではその専門医や看護師がもともと足りないことが問題になっていたそうです。病院によっては、全く勤務していない施設もあり、専門医以外の医師が集中治療に関わらざる得ない状況になることもあるそうです。

そのような現状がある中で、通常はICUの患者二人に対し、看護師一人で対応するそうですが、重症化した新型コロナ患者の場合は、患者一人に対し、感染防御の観点から2名の看護師が必要になるそうです。ただでさえ人材不足なのに、通常の4倍のマンパワーが必要になるわけです。仮に病床が空いていたとしても、看護師が足りなければ受け入れに無理が生じ、十分な治療に支障が出たり、院内感染の危険も高まるかもしれません。

もともと新型コロナ感染の疑いがある患者を受け入れるには、防護服着用の扱いや院内感染などリスクが非常に高い上に、そのような現状もあり、感染者が増え重症者が増えるに従い、東京などでは、すでに患者の受け入れに限界が近づいている状況が、報道などから感じられます。

ドイツをみると、現在約5000人の重症者がいるようです。しかし、ほとんどの重傷者がICUで治療を受けながらも、死者数は約3200人(14日現在)とかなり増えてきました。人口比では、ICUのベッド数も医療従事者も、日本よりずっと多いドイツですら、重症者が増えることによって、マンパワー不足から治療が難しくなるのか、この感染症には特効薬がないため治療に限界があるのか、重症者が亡くなるケースが増えているように思います。

あるいは、中国の感染症の最高権威である鐘南山氏は、「新型コロナウイルスは既に突然変異を起こして人体で生存しやすい状態になっており、伝播力が非常に強く、致死率がインフルエンザの20倍以上になっているという問題を重視する必要がある。」と語っていたそうなので、かなり強毒化しつつあるのかもしれません。最近は高齢者に限らず、比較的元気そうな若い世代の人でも亡くなる報道を目にします。常に変異するウィルスなので、全世代が注意しなくてはならないですね。

少し前まで、イタリアでは人工呼吸器の不足が随分と報道されていましたが、医療機器や病床の確保だけではなく、数少ない医療従事者をいかに感染から守ることが、最重要なことであるかを思い知らされますね。その上で感染爆発を防ぎ、重症者を増やさないことが、医療従事者の負担を少なくし、安全確保にもつながり、死者を少なくすることにつながっていくわけですね。

現在、国内の重症者は135名ほどで、死者は146名(4月13日現在)と、欧米諸国に比べると圧倒的に少ない状況です。しかし、すでにベッド数が足りないところもあり、また、院内感染の事例も確実に増えています。感染症の疑いがなく別な治療で入院したものの、のちに感染していたことが発覚するケースが増えています。感染を防ぐために必要な防御服やマスクも不足しています。そこに一気に重症者が増える事態になると、日本の医療体制も、たちまち深刻な状況に陥りかねません。

ちなみに、医療用マスクの不足は、新生児集中治療室(NICU)など、ICU以外にも様々なケースに対応する特殊診療設備が、日本にはたくさんあるそうですが、そちらで行われている治療にも影響を与えているそうです。

このまま感染拡大せずに、重症者が増えず抑え込んでいけることを、ワールドメイトでも祈り続けていますが、1日でも早く、足りない医療資材や病院の受け入れ体制が十分に整うことを強く願っています。

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