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2013-06-25

東京芸術財団主催、オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」のユーモラスな演出


今年の3月のことですが、五反田のゆうぽうとホールで、モーツアルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」を観てきました。主催は東京芸術財団です。そして、音楽・芸術監督が深見東州先生です。

 

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モーツァルトのオペラは、『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』の3大オペラ が有名で、この3つは、ワールドメイトの深見東州先生も、世界芸術文化振興協会主宰のオペラで主演されてきました。

私もすべて観ましたが、今回の「コジ・ファン・トゥッテ」も、その三つに負けないくらい、オペラ・ブッファ(喜劇オペラ)の傑作として有名です。

物語は、美しい姉妹のそれぞれの恋人である二人の男たちが、恋人の貞節を試すためにお互いの相手を口説くというものです。すると女性が二人とも心変わりしてしまうという、ハラハラするような面白いストーリーなのです。

しかしこのオペラ、当時のヨーロッパでは内容が道徳的に不謹慎であるということで、長い間不評をかこっていたそうです。あのベートーヴェンもこのオペラを見て、「軽薄すぎて嫌悪感を感じる」といった話も残っているくらいです。

いまでは恋多き女性は普通となってしまい、貞操に対する考え方も変わってしまいましたが、モーツアルトのころのヨーロッパでは、男がいろいろな女性に声をかける事は許されても、女性には貞淑さを厳しく求める時代だったようです。

ところで「コジ・ファン・トゥッテ」とは、「女はみんなこうしたもの」と言う意味ですが、要するに「女性の気持ちなんてすぐに変わるよ」と、モーツアルトはこの作品で言い放ったわけです。もちろんそれがその時代、キリスト教の女性の貞操と言うタブーにふれることを知りながら、堂々と書いたわけでしょう。

つまりこの作品は、モーツアルトがキリスト教的な女性の純潔に対して、それを皮肉り喜劇にし、笑い飛ばしてるのかもしれません。そう思って観ると、また違った味わいがあるような気がしました。

 

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1790年1月26日ウィーンのブルク劇場での初演時のポスター

 

東京芸術財団が主催し、そして、音楽・芸術監督が深見東州先生となれば、当然ありきたりな演出にはなりません。今回の「コジ・ファン・トゥッテ」の演出も、オリジナルなものとは、ひと味もふた味も違った見どころがありました。

まず、登場人物のそれぞれのキャラに合わせた動物が決まっていて、途中からそれに変身するという演出です。

恋人の貞節を信じて疑わない二人の実直な青年士官は、その内面を犬にたとえて、ハスキー犬とビーグル犬に変身します。逆に恋人を裏切る二人の女性たちは、その内面を猫にたとえて、それぞれシャム猫とペルシャ猫に変身するという具合です。もちろん最初からではなく、動物に変身するのは、全二幕のうちの第二幕目からです。

第一幕は、青年士官フェルランドとグリエルモの二人に、老哲学者アルフォンソが、「女の貞節なんて、アラビアの不死鳥のようなもの。皆が話題にするけど、誰も見たことがない」とうそぶき、貞節をめぐって賭けをするシーンから始まります。 そして、アルフォンソの策略が始まります。

まず、フィオルディリージ(グリエルモの恋人)と、その妹ドラベッラ(フェルランドの恋人)に、青年士官の二人が急に戦争に行かなくてはならなくなったと伝え、士官二人に出発するふりをさせます。そのあと士官二人を変装させて、姉妹に別人として紹介し、誘惑させようとするのです。これだけでなにやら不穏な、面白そうなストーリーですよね。

第二幕では、アルフォンソからチップをもらって姉妹に浮気をすすめる女中デスピーナが、「女も15歳になったら、千人の男を同時に手玉に取らなければ」を過激に歌い上げるところから始まります。このときデスピーナは、人を化かして喜ぶかのようにキタキツネに変身して歌うのです。ちなみにこの衣装がキャリーパミュパミュばりの、とってもかわいい衣装なのでした。

そして、断固として愛を貫くと言っていた姉妹も、ついに、本来の恋人と入れ替わった二人の男たちに口説かれてしまいます。この時には、この二組の男女も猫と犬に変身しています。最後に、青年士官と賭けをし、姉妹を誘惑して思いどおりに目的をとげた老学者アルフォンソも、タヌキに変身します。

なにやらすべての動物キャラが、ぴったり役柄にはまってますね。登場人物の内面性が、それにふさわしい動物として表現されることで、心の動きがダイレクトに伝わってきたと思います。さらに、演じている人も生き生きとしてましたし、観る人は視覚的にも笑えて、楽しさ倍増でした。

ちなみに余談ですが、ワールドメイトではタヌキやキツネはある理由で嫌われものです。でも、ここでのタヌキやキツネは、ユーモラスで楽しい存在になっていたので、素直に楽しめました。ワールドメイト会員の私としてはちょっと安心しました。最後は浮気した女性たちも、恋人の貞節を信じていた男性たちも、人として一皮むけ、「幸せなのは、人の良い面だけを見ることだ」を全員で歌って元の鞘におさまり、ハッピーエンドで終わります。

さて、この「コジ・ファン・トゥッテ」には、「恋人たちの学校」というサブタイトルがついています。

そのモーツアルトの作曲した「恋人たちの学校」から、私たちはなにを学ぶことができるかなんて、いまさら野暮なことは申しません。素晴らしい音楽を楽しむだけで、本当は十分でしょうから。

でも、「愛とは、お互いをよく理解することだ」と言うことに気づいて、幸せな恋を学ぶことだってできるかもしれません。あっと、私はもう恋が許される身分ではありませんけどね。

 

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東京芸術財団主催のオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」

 

モーツァルトの作品はどれも素晴らしいですが、こちらの作品は、つい20世紀後半まで『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』といった他の作品に比べて評価が低かったというのが信じられないです。

女声3、男声3のいろいろな組み合わせによる重唱が多く、今では、アンサンブル・オペラの傑作という評価になったようですが。

ところで肝心の歌のほうはどうだったかと言いますと、これが期待通り聞き応えがありました。

今回の出演者は、シドニーオペラハウス専属、国立オペラ・オーストラリアから若手ソリストが3名登場しました。恋人を裏切る姉妹の妹ドラベッラ、二人の青年士官、グリエルモとフェルランドを演じました。

私は、特にドラベッラ役のメゾ、アンナ・ドースリーさんの歌声に聞き惚れてしまいました。伸びやかで表情のあるとても美しい声で歌われます。才能豊かな、とても有望な方だなという気がしました。

そして、もう一人オペラ・オーストラリアから、英国のコベントガーデンをはじめ世界中で活躍するバスのコナル・コードさんが、老学者アルフォンソ役で出演しました。この方の低音の魅力は、今回も半端じゃないものがありました。3年前にも、IFAC主催のオペラ『ナブッコ』に予言者ザッカリヤ役で出演し、存在感ある歌と演技で聴衆を魅了しました。ワールドメイト会員にも、この人のファンがいますね。

ちなみに国立オペラ・オーストラリアは、世界12大オペラ団のひとつです。

日本からは、姉のフィオルディリージ役に岩井理花さん、姉妹の小間使いのデスピーナ役に大貫裕子さんが出演しました。日本の声楽界では、実力と華を兼ね備えたソリストのお二人です。私も何度か公演で見ていますが、ワールドメイト会員にもファンが多いようです。

今回は、途中からいつもと違うコスプレでの歌唱でしたけど、最後まで熱唱してもらいました。素晴らしかったです。

個人的には、フィオルディリージが歌うアリア、「風邪にも嵐にも」が良かったです。また、2幕のはじめでデスピーナが歌うアリア、「女も15歳になったら」も素敵でした。二重唱から六重唱まで繊細華麗なアンサンブルの佳曲が多い中、美しいアリアにも存在感を感じます。

 

それから、動物の衣装がどれも凝っていて、とくにデスピーナの衣装はほんとにかわいいうえに、それがまたソプラノの大貫裕子さんによく似合ってました。尻尾がピンと立つところなど、細部までよくできていました。

そして最後になりますが、演出のことで忘れてならない試みがもうひとつあります。それは、今回のオペラの合間に、劇団による短い芝居が挿入されたことです。もちろんこれは初の試みです。誰も想像すらしてなかったので、最初は「おっと、何事か?」と思わず口に出たほどでした。

もちろんこれも深見東州監督による演出でしょう。日本人には「オペラは退屈なもの」、と言うイメージもまだまだあるようですが、芝居を上手にいれて笑いを取るやりかたは、そんな人でも楽しめると思います。

いつもながら深見東州先生の発想は、とってもユニークで、創造的で、見る人を楽しませるものばかりです。

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