マスターズでついに松山英樹プロが優勝しましたね。本当におめでとうございます。さまざまな報道を見るにつけ、日本のゴルフファンが、日本人ゴルファーによるメジャー優勝を、どれだけ長く待ち望んでいたことか。改めてメジャーで勝つことの特別な重みを感じます。
松山英樹プロは、2017年に全米オープン2位となるなど、最終日に優勝を狙える位置にいることも何度かありました。海外では日本人歴代最高のゴルファーと評価されていますが、メジャー優勝の壁に何度も跳ね返されてきました。それでも「よく頑張った」と健闘を讃えられることが、とても辛かったようです。それは優勝するのが当然とは思われていないということを意味しますからね。そんな悔しい思いがあったからこそ、今回の優勝につながったのかもしれません。
深見東州先生も、習い事などの発表会で「よく頑張ったね」と周りから言われたら、それは「大したことがなかった、下手でしたね」と言うことですね、と言われたことがあります。そんなぬか喜びに終わるような言葉をかけられたら、悔しい、恥ずかしいと思い、それをバネに頑張れということでしょうね。
そんな悔しい思いが、この数年、松山プロにもあったのだろうなと思いました。
ところで松山英樹プロは、米国のPGAツアーを主戦場にしていることもあり、国際スポーツ振興協会の冠大会に出場したのは、2016年にメルボルンで開催された「ISPS HANDA ワールドカップ・オブ・ゴルフ」くらいしか記憶がありません。
この「ワールドカップ・オブ・ゴルフ」は、1953年開催からの、古い歴史を持つ国別対抗戦です。各国の代表2人づつによる団体戦形式で行われます。過去にはタイガー・ウッズやジャック・ニクラウス、アーノルド・パーマーをはじめ、歴史に残る世界のトップスター選手たちが、国の威信をかけて戦ってきた権威ある大会になります。
しかし、2000年代になってからは、だんだん人気がなくなってきたのか、特に2007年からは4回連続中国での開催でしたが、世界選手権シリーズからも外されています。そして、世界のトップ10に入るような選手の出場もほとんどなくなっていたようです。
当時はタイガーウッズの全盛期で、その活躍に連動するようにPGAツアーの賞金額が数倍に跳ね上がっていきました。しかも2007年からはフェデックスカップという、破格の賞金額のシリーズトーナメントが加わりました。そのようなPGAツアーの環境の変化が背景にあったのかもしれません。
そのような「ワールドカップ・オブ・ゴルフ」の冠スポンサーを、国際スポーツ振興協会が依頼を受けて、2013年から3回連続で「ISPS HANDA ワールドカップ・オブ・ゴルフ」が開催されてきました。たしか2度目、3度目の時は、何度も依頼を断ったけども、最後は引き受けられたような話を記憶しています。
ざっとふりかえると、2013年の大会は、日本からは石川遼プロと谷原秀人プロが出場して3位になり、日本でも話題になりました。優勝は地元オーストラリアのジェイソン・デイとアダム・スコットのペアでした。ジェイソン・デイは個人でも優勝し、そのことに自信を得て、その後のPGAツアーで大活躍しました。メジャーでも初優勝し、世界ランク1位にも輝きます。
続く2016年の大会では、松山英樹プロが石川遼プロを指名し、ここにドリームチームが誕生しました。日本でもさまざまなメディアで大きく取り上げられますが、残念ながら6位タイに終わりました。今思うと、ジョン・ラームやマーク・リーシュマン、シェーン・ローリー、フランチェスコ・モリナリなど、この後メジャーで勝利したり、世界ランクトップ10に入る選手が多く出ていましたね。
そして2018年の大会は、小平智プロと谷原秀人プロが出場しました。この大会には世界ランクトップ20の選手の出場がなかったので、上位進出の期待がかかりましたが23位に終わりました。ちなみにこの時イングランド代表で出場していたティレル・ハットン選手は、今年のマスターズの前に、国際スポーツ振興協会とグローバル・アンバサダー契約を結んでいます。そのマスターズでは18位でした。世界ランキングは8位になっていますね。
3回連続メルボルン開催のおかげもあってか、ヨーロッパを除く世界選抜対米国選抜の2019年プレジデンツカップは、メルボルンで開催されています。
その2019年のプレジデンツカップで、松山英樹選手も活躍し、アーニー・エルス率いる世界選抜チームが、タイガー・ウッズ率いる米国選抜チームをあと一歩のところまで追い詰めました。1998年以来2度目の世界選抜チームの勝利かと思いましたけどね。残念ながら地力で勝る米国選抜に挽回され、最後は寄り切られました。
この時の世界選抜チームキャプテン・アーニー・エルスは、国際スポーツ振興協会のアンバサダーです。新型コロナウィルスの影響で、今年9月開催に延期になったライダーカップ欧州チームキャプテンであるパドレイグ・ハリントンも、国際スポーツ振興協会アンバサダーですね。
実は国際スポーツ振興協会は、プレジデンツカップ3大スポンサーの下に位置する8大スポンサーの一つに加わっているそうです。そして2015年韓国開催プレジデンツカップのメインスポンサーである韓国企業のオーナーから、「今度は日本で開催して、アジアのゴルフの発展に努めませんか」と、持ちかけられていたそうです。各国のゴルフ協会のトップからも、同様の話をいただいているそうです。ただしこれまでは、日本のゴルフ事情もあってか、実現に至っていないとのことです。
ライダーカップやプレジデントカップの趣旨は、ゴルフを通じて国の繁栄や国際親善、教育福祉などの支援にあるそうです。そのため選手の参加国は、国の支援体制を設けたり、開催国はそのための予算を組むなど支援体制が厚く、スポンサー企業の免税措置なども講じられているそうです。
日本の場合、スポーツを楽しむにあたり、唯一税金がかかるのがゴルフです(ゴルフ場利用税)。また、政府の国家公務員倫理規定では、割り勘であっても利害関係者とのゴルフはできなくなっています。そのような日本においては、スポンサー免税措置はありえないことでしょうね。
アジアで初のプレジデントカップを誘致した韓国は、国と財界による、ゴルフ業界への支援が厚いそうです。国をあげて積極的な誘致に動き、それが成功したようです。また、ジュニアの育成には国をあげての手厚いサポート体制があるそうです。そのような体制のおかげもあるのか、特に女子ゴルファーの世界的な活躍にもつながっているのでしょう。
日本のゴルフ業界に対し、そのような国や財界の支援体制が必要かどうかは、国民の理解にもよると思います。本格的にスポーツをすると、それなりにお金がかかるのはゴルフだけではありませんが、日本ではゴルフは金持ちのスポーツというイメージが強いので、現状では難しいでしょうね。
そのような日本の状況に加え、プレジデントカップそのものにスポンサーの冠が許されず、企業が最も欲するプロアマ戦もありません。企業名を表示する看板なども控えめになるそうです。
そのため、現状スポンサー企業として名乗りを上げる企業がないのが実情だそうです。莫大な費用がかかるわりに、費用対効果を考えると、当然そうなるのでしょうね。
そのような中で、国際スポーツ振興協会は費用対効果ではなく、障害者ゴルフの推進をはじめとする、社会貢献を目的として活動してきました。その国際スポーツ振興協会には、日本開催誘致に大きな役割が果たせる可能性があるとのことです。これまでの世界のゴルフ界における実績や築き上げた厚い信頼関係があるからだそうです。
ゴルフ雑誌に掲載された情報によると、そもそも近年のプレジデントカップの誘致は、「ワールドカップ・オブ・ゴルフ」との抱き合わせになっているようです。国際スポーツ振興協会は、これまでに「ワールドカップ・オブ・ゴルフ」のメインスポンサーを3回連続で依頼され、冠スポンサーになってきました。もちろん、開催国オーストラリアの全面的な支援を受けてのことだと思います。
現在オーストラリアの男子ツアーと国際スポーツ振興協会はパートナー関係にあり、「ISPS HANDA PGAツアー・オブ・オーストラレイジア」という世界6大ゴルフツアーの一つにも数えられています。また、レギュラーツアーはヨーロピアンツアーとの共催になっています。
そのような世界のゴルフ界とのつながりや、これまでの経緯を知るにつけ、日本にいては想像つかないほど、世界のゴルフ界からの信頼が厚く、影響力も持っていると考えられます。それだけに、プレジデンツカップの日本誘致の可能性があると書かれていたのでしょう。とは言っても、2026年までの開催国は決定済みですので、早くても2028年以降の開催になるようです。
「プレジデンツカップ」は、世界のトップ中のトップゴルファーがチームを組み、国の威信をかけて戦う大会でもあります。それだけに、メジャーとは違った意味での熱狂的な大会になってきました。もし日本で開催されることになれば、日本のゴルフ界にとっても、日本の国にとっても、さまざまな良い影響や恩恵がたくさんあると思います。ぜひ実現できると良いですね。