前回の記事では、「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」の試合経過と優勝した桂川有人プロについて書きました。
今回のトーナメントは、ゴルフを観る楽しみだけではなく、さまざまなイベントを組み込むことで、日本ツアーではかつてなかったような豪華で楽しい大会になりました。今回はそのことにも触れておきたいと思います。
目次
ギャラリーやゴルファーも喜ばせるISPSの取り組み
タイトルスポンサーを務めた国際スポーツ振興協会(ISPS)の半田晴久会長(深見東州先生)は、常々、メジャー以外のゴルフのトーナメントは、興業として捉え、エンターテイメント性を取り入れていきたいと言われていました。
実際、国際スポーツ振興協会が主催する国内のトーナメントにおいては、プロレス、能楽、劇団、ポールダンス、大道芸、花火大会など、さまざまなイベントを組み合わせて開催してきた歴史があります。
ゴルフが好きで好きでしょうがない人たちや、優れたプロの技術を見たい、あるいは参考にしたいと思って、熱心に観戦する人たちにとっては、そのようなイベントは必要ないと言われるかもしれません。
しかし僕のようにゴルフを嗜むわけではなく、タイガーウッズとかジャンボ尾崎とか、昔からそんな大スター選手のプレーをテレビで見ることはあるものの、1日中ゴルフ観戦をするほどのファンではない人間にとっては、ゴルフ観戦のためだけにゴルフ場に足を運ぶ機会は、ほとんどなかったと言えます。
それが、一度ゴルフ場に足を運んでみると、ゴルファーとともにコースを歩き回ったりすることが、けっこう楽しいと思えるようになりました。気持ちもリフレッシュされます。
そんなタイプの人間にとっては、ゴルフ以外にも面白そうなイベントがあると、それが足を運ぶ機会にもつながるかと思います。
また、家族がいる人であれば、子供も楽しめるものがあれば、家族みんなで行ってみようかとなると思います。
今回の「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」は、そんなコアなゴルフファンではない人たちにとっても、コアなファンの人たちにとっても、存分に楽しめる最高のゴルフトーナメントになったのではないかと思います。
大道芸、サンバ、フラダンスに、お化け屋敷、巨大ロボット恐竜も登場
今回、まずはゴルフ場内にロボット恐竜の展示がありました。それが予想以上のもので、子供たちはもちろん、大人でも興味深く楽しめるものでした。
富士山を背景に、恐竜と一緒に写真を撮れるスポットもありました。インスタ投稿をやる人でしたら、映える面白い写真が撮れたと思います。
また、鬱蒼としげる木々の中から出てくる肉食恐竜は、かなりの迫力でした。本物そっくりの大きさに皮膚、鳴き声や動きも、非常に精密にできてきおり、その技術力にも感心しながら眺めていました。
写真や動画で見るよりも、実物は何倍も強烈な印象がありますね。
そして、超大人気だったのがお化け屋敷でした。真昼間のゴルフ場にお化け屋敷を作るという発想は、おそらく深見東州先生以外思いつかないと思います。しかしこのお化け屋敷は、評判が評判を呼んだのか、毎回、長蛇の列となっていました。僕は入場を諦めましたが、中に入った人の話では、相当に怖かったようでした。
<国内男子ゴルフ>プロも絶叫! どっちが勝つか、開店です - スポーツナビ https://t.co/NKtqJ3uOsP
— 中野麟太朗 (@SwingRinrin) April 25, 2024
ギャラリープラザに設けられた仮説ステージでは、毎日、日替わりでパフォーマーが登場し、持ち芸を披露していました。また、その前後には本場サンバダンサーによるショー、そしてフラダンスが行われました。土曜と日曜に断片的にしか見ていませんが、いつも人だかりができていましたね。
キャサリン・ジェンキンスとヴァネッサ・ウィリアムスのコンサート(土曜日)
そして、エンタメのメインイベントである、キャサリン・ジェンキンスとヴァネッサ・ウィリアムスのジョイントコンサートが、土曜日のプレー終了後、日曜日は表彰式終了後に、計2度開催されました。
海外のトーナメントでは、昼はゴルフ、夜は有名なバンドのコンサートと、1日中楽しめるような大会もたまにあります。泊まりがけのパッケージツアーなども企画されていますね。
ゴルフ以外のスポーツでも、アメリカン・フットボールのスーパボウルのハーフタイムショーは、あまりにも有名ですが、これは別格として、NBAオールスターゲームや、格闘技のイベント、あとオリンピック競技など、いろんなスポーツ競技大会で人気ミュージシャンによるコンサートが開催されるケースは、よくありますね。
日本国内のゴルフトーナメントでは、直近では昨年開催のKBCオーガスタで、地元のアイドルグループの公演を行ったそうです。世界的なタレントを招いてのコンサートになると、さすがに今回が初めてになるかもしれませんが。
今回のコンサートは、土曜と日曜の二日間、二人のスター歌手がそれぞれ5曲づつ歌う形で開催されました。コンサートも含めた見逃し配信が、国際スポーツ振興協会のホームぺージから見ることができましたが、今はコンサートの部分が削除されています。プレーと表彰式はまだ視聴できますが。
まず土曜日のコンサートのセットリストを紹介します。
- ハレルヤ
- ミュージック・オブ・ザ・ナイト
- ダニー・ボーイ
- ネバー・イナフ
- タイム・トゥ・セイ・グッバイ
- ラブ・イズ
- カラー・オブ・ザ・ウィンド
- スィーテスト・デイズ
- ピール・ミー・ア・グレープ
- セイブ・ザ・ベスト・フォー・ラスト
ハレルヤは、レナード・コーエンの曲で、ハレルヤコーラスではありません。キャサリン・ジェンキンスは、クラシックからミュージカル、ポップスまで、たくさんのレパートリーがありますが、今回は、ゴルフを観にきたギャラリーが対象なので、あえて誰でも知っているポュラーな曲をチョイスしたのでしょう。
ミュージカル「オペラ座の怪人」の最も有名な曲「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」も好きですが、映画「ザ・グレイテスト・ショーマン」の劇中歌として大ヒットした「ネバー・イナフ」は、さらに好きな歌の一つです。この曲をクラシカルに、とても感動的に熱唱しました。
アイリッシュソングであるダニー・ボーイは優しくしっとりと歌い、国際スポーツ振興協会(ISPS)ペイトロンとして来日しているエンダ・ケニー元アイルランド首相へ捧げられました。
サラ・ブライトマンが歌い、クロスオーバー歌手の定番のようになっている名曲「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」は、深見東州先生もよく歌われる曲です。サラ・ブライトマンよりも声質がやや低いキャサリンが歌うこの曲は、また違う味わいがあって素敵でした。この曲に関しては深見東州先生が歌うものが個人的には最高だと思ってますけどね。
一方のヴァネッサ・ウィリアムスですが、やはりオスカーとグラミー賞受賞曲「カラー・オブ・ザ・ウィンド」と、世界中で最大のヒットとなった「セイブ・ザ・ベスト・フォー・ラスト」は外せませんね。シオノギ製薬セデスのCMに使用されたため、「痛くなったらすぐセデス」をスラスラ日本語で喋り、会場の喝采を浴びていました。
「カラー・オブ・ザ・ウィンド」からそのまま「スィーテスト・デイズ」を歌いましたが、この曲はヴァネッサの4人の子供のために書いた曲だそうです。母親としての顔がのぞいたシーンでした。
続く曲はよく知らない曲でしたが、「ピール・ミー・ア・グレープ」という、お洒落なナイトクラブかバーで流れていそうな、ジャジーなカッコいい曲でした。
実は、ヴェネッサの後に、深見東州先生が登場し「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を歌われます。コンサートの前に、ヴァネッサ・ウィリアムスと、彼女の歌を演奏するキーボード奏者のリオ・コロン氏と食事に行ったそうですが、デビッド・フォスターの伴奏で「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を歌った時の話になったそうです。それじゃあ僕が演奏するから、ぜひ一曲歌うといいよとリオ氏に言われ、急遽この日に歌うことが決まったそうです。いつにも増して響のある素晴らしい歌声で、ジャジーに歌い上げられました。
リオ氏は、一曲目の「ラブ・イズ」ではキーボードを弾きながら渋い歌声を聴かせてくれ、それがあまりに上手なのでびっくりしました。「ラブ・イズ」は、ブライアン・マックナイトという米国のグラミー賞受賞歌手が、ヴァネッサ・ウィリアムスと一緒に歌った曲です。グラミー賞にもノミネートされた、とても美しい曲です。今回キーボードを演奏したリオ氏は、チャカ・カーンの伴奏をしたり、ゴスペル歌手でもあり、博士号を持つインテリでもあるそうです。
キャサリン・ジェンキンスとヴァネッサ・ウィリアムスのコンサート(日曜日)
日曜日のセットリストを紹介します。
- ワールド・イン・ユニオン
- ゴッドファーザー愛のテーマ
- オーバー・ザ・レインボウ
- ムーン・リバー
- ウィー・アー・ザ・チャンピオンズ
- ラブ・イズ
- カラー・オブ・ザ・ウィンド
- スウィーテスト・デイズ
- ストーミー・ウェザー
- セイブ・ザ・ベスト・フォー・ラスト
キャサリン・ジェンキンスは、全て土曜とは違う曲を歌いました。
最初の「ワールド・イン・ユニオン 」は、ラグビーワールドカップのテーマソングになっていますね。キャサリンは2017年のフランスラグビーW杯で、この曲を歌った歌手の一人でした。原曲はグスタフ・ホルストの『惑星』の「ジュピター」の旋律の一部ですね。
その旋律をホルストが、英国国教会の愛国的賛美歌「I Vow To Thee My Country」(セシル・スプリング・ライス卿の作詞)に使うために改作しました。さらにその曲に、別な歌詞をつけたものが「ワールド・イン・ユニオン 」になります。すべての国が団結し、一つのゆるぎない世界になるという理想を歌う歌詞ですね。
キャサリン・ジェンキンスは、容姿も歌声も天使のようだと、動画のコメントなどによく書かれてますけど、たしかに優しく癒される歌声ですね。そして、とても気持ちよくしてくれます。
キャリンは、「I Vow To Thee My Country」も、英国の公式行事などで歌っていますが、すごくいいですね。感動的で、兵士たちが愛国心を高ぶらせているようにも見えました。
「ゴッドファーザー愛のテーマ」は、この会のゴッドファーザーである半田晴久さまに捧げますということでした。深見東州先生はついにゴッドファーザーになられました(笑い)
続いてミュージカル「オズの魔法使い」から「オーバー・ザ・レインボウ」は、とても好きな曲で、うっとりと聴き惚れてしまいました。
そして4曲目のムーン・リバーでは、キャサリンと深見東州先生がデュエットしました。ぶっつけ本番のようでしたけど、心なしか深見東州先生の使用するPAの音量が弱いように感じましたが、ロマンチックなムードたっぷりな、いきのあった歌唱だったと思います。キャサリンの眼差しで見つめられると、とろけてしまいそうですが、さすが深見東州先生は余裕たっぷりな仕草で安定の歌唱でした。
チャーミングな笑顔をずっと絶やさず、ラストはクイーンの「ウィー・アー・ザ・チャンピオンズ」で締めくくりました。この曲では珍しく、ややアグレッシブな身振りも交えて、会場を巻き込んで、大いに盛り上がりました。この日生で見た人は、キャリンの歌声に心洗われ、キャサリンの可愛らしさと優雅さにノックアウトされた人もたくさんいたのではないかと思います。
ヴァネッサの生歌でディスコタイム、さらに千発の花火
ヴァネッサ・ウィリアムスは、4曲目に昨日とは違う曲を歌いました。「ストーミー・ウェザー」という曲ですが、1943年に公開されたアフリカ系アメリカ人キャストのハリウッド・ミュージカル「ストーミー・ウェザー」の中で歌われるジャズナンバーです。まだ色濃く黒人差別が残る時代に、黒人向けに作成された作品ですが、それを超えたインパクトを社会に与えたと言われています。
その後2013年にブロードウェイ・ミュージカル「アフター・ミッドナイト」が初上演されますが、その中でも歌われます。ヴァネッサは、このミュージカルに特別ゲストとして一月以上出演しました。
「アフター・ミッドナイト」は、「コットンクラブパレード」のブロードウェイ版として、1920年代の高級ナイトクラブ「コットン・クラブ」を、スイングやブルースを演奏するビッグバンドや歌手、ダンサーたちが再現するという、ジャズミュージカルになりますね。トニー賞のベストミュージカルにもノミネートされました。
この日は、ヴァネッサが歌う頃にはあたりが暗くなっていました。前日はまだ明るかったのですが、夜のステージは、ヴァネッサの煌びやかな雰囲気をさらに華やかに際立たせますね。ヴァネッサの歌は夜の方が雰囲気に合いますし、実際、歌にもいっそう気持ちがこもっていたように感じました。
ヴァネッサ・ウィリアムスは、さすが世界最高峰の、移り変わりの激しい米国の音楽産業、白人男性優位のハリウッド映画産業の中で、長く存在感を発揮してきたスーパースターだなと思います。ステージ上でのパフォーマンス、観客とのやりとりは、今回はピアニストと二人だけの最小人数でしたが、貫禄というか、聴衆をグイグイ引き込む圧倒的な存在感で、やはりアメリカを代表するエンタティナーの一人だなと感じました。
そして、コンサート終了後のディスコタイムにも昨日に続き登場し、キャサリン・ジェンキンスや、今回来日したアイルランドやオーストラリアの元首相、英国王室のピーター・フィリップス氏、マイク・ティンダル氏、そして優勝した桂川プロらと共に楽しく踊ってくれました。
それだけでも感激ものですが、なんと最後にDJが、ヴァネッサの「ザ・ライト・スタッフ」という初期のダンスナンバーをかけると、ヴァネッサが生で歌いはじめるサプライズがおきました。いやもう、こんなコンサートを入場者へのサービスで見ていいものかというレベルでしたね。というか、ここで、よくこれだけのプレミアムなコンサートを開催できたなというのが正直な感想です。今回、観戦にきた人はラッキーとしか言いようがありませんね。
僕は昔、ヴァネッサのようなダンス系や、R & Bに根差した米国歌手やグループの歌が好きで、一時期よく聞いていました。ヴァネッサ・ウィリアムスは、あまりの美貌とセクシーさに、そちらに気が言ってしまってましたけどね。
今回家に帰って、改めてヴァネッサの全盛期の頃の歌の数々を聞くと、今でも新鮮な感じで聞けました。そして、こんないい歌をたくさん歌っていたんだと再発見しました。特に、アーバン・アダルトコンテンポラリー系の曲は、本当に表現力の高い歌唱力で聴かせてくれます。それは今回のコンサートでも、ほとんど衰えを感じなかったので、とても凄いことだなと思います。
そして、二人のコンサートが終わった後は、最後に花火の打ち上げがあるのですが、その間に深見東州先生が富士山を讃えるために、童謡「ふじのやま」をオペラ歌手として歌われました。短い歌でしたが、澄み切った歌声が富士山にまで響きわたりました。
そして、4日間の、プロアマや前夜祭を含めると1週間近くに及んだ今回のトーナメントを締めくくるのは、国内外で多くの実績がある花火師、丸玉屋小勝煙火店による1000発の花火でした。
丸玉屋小勝煙火店は『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』(2023年1月テレビ朝日系「土曜ナイトドラマ」で放送)を監修したそうです。
深見東州先生が作曲した「一遍上人」「石垣ギュウギュウ」「メタボの雀」「鳴門海峡」の音楽に連動して、華やかで大きな、見応えたっぷりの芸術的な花火が、富士山麓の夜空に打ち上がる様は美しく、見事としか言いようがありませんね。
海外のゲストの皆さん方も、とても感激し喜んでいたのがわかりました。ヴァネッサとキャサリンが、とても興味深そうに、深見東州先生と何やら熱心に話していたのも印象的でした。僕も久しぶりの花火に、童心にかえって、心ゆくまで楽しませてもらいました。