深見東州(半田晴久) 氏の年間イベント一覧
ハリー王子が創設し深見東州氏が支援するサンタバリーとは(1)

深見東州先生は、2014年7月に南アフリカ共和国に周囲を囲まれた高原の国、レソト王国を訪れました。レソト王国のセーイソ王子と会談し、サンタバリーを視察するためです。そこでレソト王国の子供たちが置かれている困難な現状を知ることとなり、深見東州先生が総裁を務める世界開発協力機構(WSD)を通じ、支援をはじめられます。

今回は、そのサンタバリーの活動について書きます。

ハリー王子とセーイソ王子がサンタバリーを創設

遡ること2004年、英王室のハリー王子(現サセックス公爵)はセーイソ王子の助けを借りて、ギャップイヤーで初めてレソト王国を訪れます。そこで親を失い、あるいは両親ともに失ってしまったたくさんの子供たちに出会います。さらに極度の貧困とHIV/エイズの災禍が襲い、人生が破壊された多くの子供たちの存在を知ることになります。

当時のレソト王国は、子供3人に1人が孤児と言われ、また、HIV保有率は世界で3番目に高い国でした。国民の1/4がHIV感染者と言われ、1990年に220万人いた人口は、2006年に180万人へと激減します。当然平均寿命も60歳から35歳になり、成人死亡率は世界でもっとも高い国と言われていました。

そのような悲惨な現状の中で、ハリー王子は2006年、レソト国王レッツィー世の弟であるセーイソ王子とともに、レソト王国の最も弱い立場にある子どもたちが健康で生産的な生活を送れるようにとの思いから、慈善団体「サンタバリー(Sentebale)」を設立します。

「サンタバリー(Sentebale)」は、レソトの公用語で「わすれなぐさ(Forget me not)」の意があります。これは、エイズと貧困の影響を受けている人たちを支援した故ダイアナ妃の活動の継続を表すと同時に、レソトとその子どもたちの苦境が忘れ去られていないことを表すものです。

ハリー王子は2022年のチャリティポロカップにおいて、「私は毎日、母を誇りに思っています。母はHIV/AIDSを経験した人々を支援し、その汚名を返上するために精力的に活動していました。その母の好きな花は "忘れな草 "でした。誰であろうと、どこであろうと、人々への献身的な奉仕をすることで、母の遺志を偲ぶことができればと思います。」と語っていたそうです。

サンサバリーは、同国の族長のネットワークや地方政府関係者、地域のセンターや他のNGO組織など、現地の草の根組織と協力しながら、極度の貧困やHIV/AIDS流行の犠牲となっている子どもたちに医療、教育を提供します。同時に、両親との死別、HIVによる差別、そして貧困によってトラウマを負い、心が傷ついた子どもたちの精神の健康改善や、身体的な障害を持つ孤児のケアに取り組んでいきます。

設立当初は、組織の活動がうまく軌道に乗らなかったようですが、英国に事務所を持つサンタバリーの取り締まり役や理事会の人選の変遷を経るうちに、徐々にレソトの子供たちの生活の改善に効果が現れるようになっていきます。

地域の子どもたちのニーズに基づくサンタバリーの活動

ここで、まだ深見東州先生がサンタバリーへの支援を始める前の2010年から2012年ごろの、サンタバリーの活動の実態について書いておきます。現地の状況に非常に細やかに密着しつつ、かつ非常に難しいタスクを行なっていることを感じます。

まず、中心になるプロジェクトは「マモハト・プログラム」になります。この名称は、セーイソ王子の亡き母であるマモハト王妃に由来します。2008年1月から、サンタバリーが全額を出資して運営する、マモハト・ネットワーク・アンド・キャンプが始まりました。

HIVに感染することで孤立しがちなHIV陽性児にとって、子ども同士のコミュニケーションは重要な鍵になるそうです。ここでは、若者たちがHIVとAIDSについて率直に話し合い、HIVとAIDSが自分たちにどのような影響を及ぼすのか、どう対処するのが最善なのかを学ぶと同時に、服薬の重要性についても学ぶことができます。

セッションでは訓練されたスタッフが、衛生や栄養、高度生殖補助医療や、患者自身が自分の病気を受け入れて、医師の指示に従って積極的に薬を用いた治療を受けるための教育、HIVに焦点を当てたゲーム、スポーツ、美術、工芸、演劇など多岐にわたる指導を行います。

また、応急手当やライフ・スキルを学んだり、リーダーシップ・スキル、進路指導、履歴書の書き方なども教えるそうです。目的としては、子どもたちの自尊心、自信、自己主張を高め、より健康で幸せな生活を送れるようにすることにあります。それらを、たとえば1週間のキャンプで30人の子供たちに教え、さらに継続的なサポートとフォローアッププログラムも行うそうです。

そうした活動により、エイズは適切な治療を行えば、死に至ることもなく、人に感染させることもないことを伝えることができるようになったそうです。またHIVに感染したことで、身内に非難されやる気を失っている子供たちや、ネグレクトによって傷ついた子供たちが元気になったり、考え方や人生観を大きく変えることにつながるなど、徐々に人生を立て直すことができるようになってきました。

それ以外にも、活動は多岐に渡ります。レソトでは、地方政府関係者や地域のセンター、他のNGO組織などが、さまざまな活動をしています。サンタバリーはそれらの活動に対し、財政的な支援をはじめ、さまざまな形で協力をしています。

全てを記すと長くなるので、主なものをいくつか紹介します。

レソト王国の青少年たちは、何ヶ月も山中で牛の世話をすることを義務付けられています。そのため教育の機会が失われます。それを補うために週に4日ほどセモンコン・チルドレンズ・センターが2つのナイト・スクールを開き、牧童たちに教育の機会を与えているそうです。また、冬になると山の気温は氷点下まで下がるため、牧童たちは過酷な生活を送りますが、夜間学校を通じて、毛布、長靴、手袋などの衣類を余分に支給し、暖かく過ごせるように支援するそうです。

虐待やネグレクトに苦しむ孤児や弱い立場の子供たちを預かるマンツアゼ養護施設では、養子縁組、里親への委託のほか、文部省と協力し、奨学金を受ける権利がある子供たちには、奨学金が受けれるようにしてあげて、学校で良い成績を修められるよう支援しているそうです。

特別な支援を必要とする子どもたちを含む、大勢の子どもたちが暮らすセモンコン・チルドレンズ・センターでは、学校教育、医療支援、衣料品を提供しています。また、必要な子どもたちには奨学金を支給し、奨学金を得られない子どもたちには学費を負担しています。

行き場のない子供たちに家を提供しているプラーネ・チルドレンズ・ホームでは、食料、水、衣類、ベッド、愛情、安全などの、子どもたちに必要な基本的なニーズを満たしているそうです。

レイチュメツェ教会では、レソトの子供たちの支援に全てを捧げるシスターのもとで、大勢の孤児や社会的立場の弱い主に女の子の世話を献身的に行っています。同時に、地域社会の多くの貧困家庭に、持続可能な支援の手を差し伸べています。

タッチング・タイニー・ライブス(TTL)は、HIV/AIDSの流行がレソトの赤ちゃんに与える影響を受けて設立されました。重度の栄養失調、重篤な病気、または孤児という最も弱い立場にある5歳未満の乳幼児を支援します。彼らの健康、栄養、発達、精神的なニーズをサポートする一方、より良い未来を提供できるよう、彼らの世話をする家族やその他の人々に力を与えています。

他にも、全寮制のカナネロろう学校、セント・ポールろう学校、障害を持つこどものためのモラペリ・スクール、障害児やエイズで両親を亡くした孤児に家を提供するフェリサノン、身体と精神に障害を持つ子供たちをケアするために設立された聖アンジェラ身体障害者ホーム、レソト唯一の重複障害者のためのトゥソ・センターなどなど、多くの草の根組織の活動を支援し、協力して活動しています。

サンタバリーは、このようにレソト王国の子供たちや大人の生活改善に取り組む数多くの組織の一つですが、組織同士の互いの協力関係が最大の効果を生むのは明らかであるとして、レツェマというネットワークを設立しました。

レツェマの取り組みは、「レソトの孤児や弱い立場の子どもたちのために、誰がどこで何をしているのか」を知りたいという要望から発展し、ウェブサイトには数百の団体が登録し、毎月多くの団体がレツェマ・フォーラムに集まり情報を共有しているそうです。

孤児や社会的弱者の子どもたちのために活動するサービス提供者のネットワークとして、情報の収集と普及に努め、レソトのすべての資金提供者とサービス提供者間の協力、連携、コミュニケーションを促進することに尽力しています。

2014年からサンタバリー支援を開始

サンタバリーの活動を具体的に紹介してきましたが、これらの活動は、レソト王国が周囲を山に囲まれた極貧の小国であり、インフラ整備が乏しいことにより、一層困難な中での活動になっていることも理解しておく必要があります。

前述したように、2014年からは深見東州先生もサンタバリー支援に乗り出されます。総裁を務める世界開発協力機構(WSD)だけでなく、チャリティ・コンサートを開催し、収入を寄付するなどの活動を当時されていました。また、資金集めの基幹イベントであるチャリティ・ポロ・カップの支援も継続して行なっています。

ちょうどその頃サンタバリーでは、レソト王国の首都近郊に、マモハト・チルドレンズ・センターを建設する作業が始まっていました。このセンターは2015年に完成しますが、それまでの4倍の数の子供たちを支援することが可能になりました。

ハリー王子はサンタバリーの設立以降、レソトの最も弱い立場にある子どもたちが直面する緊急の問題に光を当て、サンタバリーに対する認識を高めるために尽力しました。公私ともに定期的にレソトの慈善事業やプログラムを訪問し、毎年開催される資金調達の基幹イベントであるチャリティ・ポロ・カップをはじめとする、ケンジントン宮殿でチャリティ・コンサートの開催や、エイズ国際会議への参加など、年間を通じて多くのサンタバリー支援の活動に取り組みました。

2016年から、ハリー王子は英国や世界でのHIV/AIDSを取り巻く問題、特にスティグマがもたらす有害な影響についての認識を高めることに情熱を注ぎます。

さらにバルバドスとロンドンのガイズ・アンド・セント・トーマス病院の両方でHIV検査を自らが受けることで、検査を受けることがいかに簡単であるかを示しました。HIVに感染していることが判明すると、周りから差別を受けることを恐れ、検査を受けることを嫌がる子供たちが多いという問題があるからです。

そして、2020年までには、サンタバリーの活動をサハラ以南の5カ国へ拡大するという計画についても語りました。実際に、2016年からはボツワナで活動が始まります。

2017年に開催されたサンタバリーとロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)における会議では、2016年現在、10~19歳の青少年のうち約200万人がHIVとともに生き、その85%近くがサハラ以南のアフリカに住んでいるとのことでした。サハラ以南のアフリカでは、15~19歳の新規HIV感染者の4人に3人は少女であり、HIV関連疾患はアフリカの15~24歳の若い女性の死因の第2位を占めているとのことです。

HIVとともに生きる青年(ALHIV)には、周産期感染者と性感染者の両方が含まれ、これらの若者は、診断、HIVケアサービスへの接続、ケアの継続、治療の維持など、HIVケア経路のあらゆる段階で明確な課題に直面しているとのことです。

青少年は、小児HIVケアサービスと成人HIVケアサービスの狭間にいることが多く、ALHIVの大部分は自分の状態を知らないそうです。主な障壁は、青少年が生活する心理社会的状況、HIVにまつわる深く根付いたスティグマ、青少年の限られた個人的資源と介護者への依存、そして青少年を取り巻く医療制度だということです。保健制度も、ALHIV特有のニーズに対応する準備が整っていないと指摘されました。

具体的には、HIV感染者であることがわかると、恋人も含め周りから人が離れていくなどがあります。そのため偏見による差別や排除を恐れ、そのことが治療の進展の阻害になります。また、感染していても症状が出なければ、そのままにしている人もいますから、感染防止にもなりません。また、貧困が原因で、売春をせざるを得ない少女たちが感染したり、教育を受けられないために、感染予防の方法を知らずに感染する若者たちも非常に多いわけです。

ピーター・ピオット博士とハリー王子
https://www.lshtm.ac.uk/files/HIV_policy_brief.pdf

このロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)は、公衆衛生および感染症研究において、ハーバード大学、ジョンズ・ホプキンズ大学に並ぶ世界的な名門校です。学長はエボラ出血熱の流行を封じ込める取り組みを主導したことで世界的に知られるピーター・ピオット博士です。博士は、その後エイズの先駆的研究を主導してきました。国連合同エイズ計画(UNAIDS)初代事務局長、国際連合事務次長を務めた時期もあります。

ちなみに深見東州先生が総裁を務める世界開発協力機構主催で、2016年3月にピーター・ピオット博士をゲストに招き「世界の医療と、国際政治」サミットが東京で開催されました。(博士は来日直前に身内の不幸がありビデオメッセージになりました。)

また、世界開発協力機構はロンドン大学衛生熱帯医学大学院で、国際保健に関する講座(Handa Professorship in Global Health)を支援しています。ピーター・ピオット博士が担当され、現在は学長を退任されましたが、引き続きHanda Professor of Global HealthとしてLSHTMでの研究は続けるそうです。

次回は、サンタバリーの活動によって、どのように状況が変わっているのか。また、2020年から始まった新型コロナによるパンデミックの影響について。そして資金調達の基幹イベントであるチャリティ・ポロ・マッチについても詳しく書きたいと思います。

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