深見東州(半田晴久) 氏の年間イベント一覧
新国立劇場オペラパレスで、オペラ「聖徳太子」が上演

オペラ『聖徳太子』は、非常に楽しめると同時に心揺さぶられたオペラでした。

楽しめた理由はいくつかありますが、その一つはバレエダンサーの演出でした。東京シティ・バレエ団の中島伸欣氏の振り付けで、オペラの主要な場面において魅力的なダンスを披露してくれました。オペラ歌手による演技も非常に素晴らしかったですが、その場面の背景を盛り上げ、舞台をいっそう素晴らしいものに引き上げていました。

バレエとオペラが合体し、相乗効果を発揮しつつ、見事に調和したステージを見せてくれたわけですね。全体を通して練りに練られた演出は本当に素晴らしくて、見ていてひとときも間伸びする場面がなく、3時間もの舞台でしたが、あっという間に終わった気がします。

2002年の初演のときも、バレエの演出がありました。しかし今回はグレードが上がり、より印象的で効果的な演出になっていたと思います。

さらに後半には能楽師が登場するのですが、鳥肌が立つような演出でした。蘇我馬子の横暴さと妃刀自古の死により、悩み葛藤し、新しい国づくりを進める意欲を失う聖徳太子(厩戸皇子)のもとに、救世観音が現れるという設定です。静寂の中に響く笛の音に誘われながら、能のゆっくりとした動きで救世観音が登場します。笛を吹くのは聖徳太子役の深見東州先生でした。

2002年の初演と同じ流れではあるのですが、オペラやバレエのドラマチックな表現が続く中で、幽玄で厳粛な能の様式は良い意味でのギャップがあり、強く印象に残ります。前回よりはドラマチックな演出に仕上げていて、ストーリの中に違和感なく溶け込んでいたと思います。能の監修振付は、能楽宝生流シテ方、辰巳滿次郎氏が担当しました。

オペラ「聖徳太子」第一幕

今回の2022年と2002年の初演時のパンフレットをもとに、大まかなあらすじを紹介します。

まずオープニングでは序曲に続き、テノール所谷直生さんによるソロと合唱が始まります。ここは、五穀豊穣、万民豊楽、天下安穏、地味増長、鎮護国家の祈りを捧げる場面です。法隆寺や延暦寺などの寺社で、今も祈る内容と同じですね。

続いて、蘇我氏と物部氏による戦の場面となり、ここでは合唱とバレエ団扮する兵士の踊りが見どころです。

この戦が蘇我氏の勝利に終わると、2002年の初演にはいなかった秦河勝が登場する場面となります。秦河勝は厩戸皇子に命ある限りお仕えすることを高らかに歌い上げます。秦河勝を演じるのはバリトンの村松恒矢さんです。

続いて戦で勝利を収めた蘇我馬子が登場し、大王の権威と仏教の力で蘇我朝廷を築く野望に満ちたアリアを高らかに歌います。蘇我馬子という悪役を見事に演じたのはバリトンの清水良一さんです。

一方で馬子に権力を握られ、虐げられている泊瀬部大王(崇峻天皇)は、嘆き、不満を募らせます。厩戸皇子の言葉にも耳を貸さず、ひたすら馬子への恨みと逆襲を匂わすアリアを歌います。泊瀬部大王の役はテノールの角田和弘さんです。

しかし、泊瀬部大王は馬子の怒りを買うことになり、刺客を差し向けられ暗殺されます。その場面では、「血の匂い」と不気味に歌う合唱団と、刺客であるバレエダンサーのコンテンポラリーダンスが、見事に緊迫と恐怖を演出しました。

泊瀬部大王の暗殺を知り、憤る厩戸皇子ですが、馬子はすでに次の大王を炊屋姫にすると言い残して去っていきます。

厩戸皇子は、自らにも蘇我氏の血が流れていること。馬子の不気味な影が自分自身にも降りかかることを自覚し、馬子の呪いに苦しむ心情と、それでも理想の国を築きたい胸の内をアリアで歌い上げます。

馬子の呪縛を解き、倭国を日出る処の国に恥じないよう、国づくりを行う誓いを秦河勝の前で歌います。秦河勝もその熱い想いに応えます。

ここで斑鳩にいる妃刀自古が登場し、愛しい厩戸皇子と自分自身の二つの魂が、熱き血潮となって舞い踊る様をアリアに乗せて歌い上げます。

続いて厩戸皇子が、刀自古に対して父である馬子ではなく、吾についてきてくれるかと確かめます。そして厩戸皇子と刀自古の二重唱にて、2人が育む真の愛を高らかに歌い上げ、第一幕を未来への希望と愛で締めくくります。刀自古役はソプラノの大貫裕子さんです。

オペラ「聖徳太子」第二幕

第2幕は、炊屋姫(推古天皇)の即位の場面から始まります。巫女に扮したバレエダンサーによる優雅な浄めの舞、そして合唱団が讃え歌い、メゾソプラノ岩森美里さん扮する炊屋姫はアリアを歌い、「天神地祇の選ばれし巫女として倭国の天皇となり申す」と宣言します。

続いて炊屋姫は、厩戸皇子を摂政にするように馬子に申し付けますが、馬子は反対します。しかし炊屋姫が厩戸皇子を育ててほしいのですと言い寄ると、最後は馬子も引き下がります。

厩戸皇子は摂政を引き受けると、さっそく小野妹子を随に使わすことを提案します。しかし馬子はこれにも反対します。厩戸皇子は身分や家柄ではなく、能力のある者を登用していきたいことを告げ、炊屋姫の賛意を得ると、しぶしぶ馬子も引き下がります。

秦河勝が小野妹子を厩戸皇子の前に連れてきます。厩戸皇子は妹子に隋への使者になってくれと告げると、小野妹子は大役を喜んで引き受けます。妹子は倭国の明日を見据える厩戸皇子の英知に、新しい国づくりを託そうと、希望に満ちてアリアを歌い上げます。小野妹子役はテノールの所谷直生さんです。

厩戸皇子と高句麗の高僧慧慈の対面の場面に変わり、厩戸皇子は慧慈に、なぜこの世は平安にならないのかと問います。慧慈は「人の上にたつ者は、欲、驕り、恨みを捨てねばなりませぬ」と説きます。そして2人による二重奏にて、厩戸皇子は「御仏の教えと慈悲の心こそ国造りの礎」と歌い、慧慈は厩戸皇子こそ理想を実現できる、明日の倭国を築くお方と応じます。慧慈役はバスの峰茂樹さんです。

場面は変わり、蘇我馬子は娘であり、厩戸皇子の妃である刀自古と対面します。馬子は冠位十二階や十七条の定めなど、摂政として手腕をふるう厩戸皇子が邪魔で排除したいと思っています。

そして刀自古に対し、皇子の動向を見張るように言いつけます。刀自古は厩戸皇子を裏切ることはできませんと抗いますが、皇子にそれを使えと、刀自古に毒薬を渡し去ります。刀自古は、「父の狂気は私の狂気」と、苦悩を深めていきます。

そして、厩戸皇子が刀自古のもとに現れ、皇子の命を奪うことなどできないと思い悩む刀自古に優しく声をかけます。

厩戸皇子と刀自古と馬子の3重唱が始まり、刀自古は自ら命を絶つ方がどんなに楽かと歌います。馬子は大王に実権を握らせてはならない、この世は勝つか負けるか、手段は選ばぬと歌います。厩戸皇子はそなたの苦しみは吾の苦しみと歌います。

そして刀自古は愛する人に毒を盛ることなどできないと取り乱し、自ら毒薬をあおります。

愛する皇子の腕の中で、刀自古はこうするしかないのです。私は皇子に愛され幸せでした。皇子の夢は私の夢、私も一緒に夢を見たかった、いつまでもお傍におりますと言い残して事切れます。

場内が涙で包まれる中、第一幕から一転し、厩戸皇子の悲痛な叫びで、第二幕は終了します。

オペラ「聖徳太子」第三幕

第3幕の最初は、最初に少し触れましたが、能の様式が取り入れられた場面になります。

厩戸皇子が、吾の理想を求める生き方が刀自古を死に追いやってしまった、と苦悩するシーンからはじまります。夢殿に籠る厩戸皇子。すると能管の音色に導かれ、黄金色に光輝く救世観音が眼前に現れます。救世観音を演じるのは宝生流能楽師石黒実都さんです。

救世観音の代わりに合唱団が、「魂が涙によって浄められ、そなたの原郷(まほろば)が闇の中から再び甦るまで祈り続けるのです」と歌います。そして「真の愛を知る者だけが新しい国を夢見ることができるのです」と、厩戸皇子を諭します。

次に炊屋姫がアリアを歌う場面に変わります。馬子の狂気の矛先がいつか私にも向くかもしれないが、使い方次第、飼いならせばこの身を守ってくれると、したたかな思いを歌い上げます。

次にその馬子がアリアを歌う場面になります。大王を利用し、豪族を従え、民を支配する、倭国はわが手の中にと、満足気に歌い上げます。

しかし次の場面では、暗殺された泊瀬部大王(崇峻天皇)が亡霊となって馬子の前に現れ、馬子よ呪われよと歌います。この場面では、バレエダンサーが多くの亡者の姿となって現れ、合唱団による呪いの歌に合わせた見事な踊りを見せてくれます。

馬子が狂乱状態に陥る中、刀自古の霊が現れます。「私は父上の野望のために死に追いやられたのです」と。「父上を捨て、愛する皇子を選んだのです」と、憤る思いを歌います。そして父上をお恨み申しますと迫る刀自古の前に、馬子はやめてくれと悶え苦しみます。

場面は変わり、小野妹子が隋から帰ってきて厩戸皇子の前にて、隋の素晴らしい国の有様を報告します。しかし皇子は、まだ刀自古の死の傷痕から立ち直れていません。国造りへの希望を持てない状態でした。

小野妹子と慧慈と秦河勝が、かわるがわる、皇子への期待と新しい国づくりへの思いを訴えます。厩戸皇子は、刀自古の「皇子の夢は私の夢です」という言葉を聞きます。

皇子は、「愛しい人の死が和を生み出す真の慈悲の尊さを教えたくれた」と、アリアを歌い、再び国づくりへの希望と意欲を取り戻していきます。

フィナーレの場面へと変わり、出演者全員が揃います。永遠の理想、みろくの理想、和を持って貴しとなすことを歌い上げます。バレエダンサーは寿ぎ舞い踊り、救世観音も現れ、大団円で終わりました。

嵐のようなブラ棒を叩く音と、スタンディングオベーションの中、カーテンコールが幾度となく繰り返され、大満足、大成功のオペラとなりました。(ブラ棒=ブラボーと叫ぶ代わりに叩く棒状のバルーン)

最後になりますが、演出は大島尚志氏。作曲は糀場富美子氏、藤原豊氏、久田典子氏。オーケストラは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団。指揮は高野秀峰氏。バレエは東京シティバレエ団。そして総合プロデューサー、兼音楽監督は深見東州(半田晴久)先生が務めました。

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